「春はあけぼの」のフレーズとともに、必ずといっていいほど古文の教科書に登場する『枕草子』。
「冒頭のフレーズしか知らない」「結局なんの話かよくわからない」そんな方は、ちょっともったいないかもしれません。
なぜなら『枕草子』は「日本三大随筆」の1つとも言われる名エッセイ。面白くないはずがないのです。
今回は、そんな『枕草子』の面白さを存分に解説してくれる一冊を紹介します。
- 『枕草子』の面白さを味わってみたい
- だけど原文を読むのはハードルが高い
- 古文の知識を蓄えて同級生に差をつけたい
- 古文に少しでも詳しくなりたい受験生
という方はぜひ、この機会に手にしてほしい一冊です。
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『枕草子』について
本の紹介に入る前に『枕草子』の原作について簡単に解説します。
『枕草子』覚えておきたい基礎知識
- 作者は清少納言(966年頃に生まれ、没年は不明)
- 長保3年(1001年)頃成立した作品
- ジャンルは「随筆」
- 作者が中宮定子に仕えていた頃、宮廷生活で体験した自然や人間関係について綴ったもの
- 約320の章段からなり、類聚的章段、日記的章段、随筆的章段に分けられる
- 紫式部の『源氏物語』の「もののあはれ」の世界観に対し「をかし」の世界を語る

大学受験などに向けても、こうした知識があると役に立ちます!
そもそも「随筆」とは?
ちなみに随筆は、以下のように定義されます。
随筆というジャンルはこの『枕草子』を皮切りに、鎌倉時代の『方丈記』『徒然草』などに受け継がれていったと言われています。
『枕草子REMIX』について
では、いよいよ今回紹介したい一冊『枕草子REMIX』について解説していきます。
作品について
今回おすすめする『枕草子REMIX』はエッセイストの酒井順子さんの著書です。
『枕草子』の内容をわかりやすく、現代語や現代世界に当てはめて解説した一冊になっています。
「随筆の祖」と呼ばれる『枕草子』を「エッセイスト」を語る上で読まないわけにはいかないだろうと思ったことがきっかけで、全編読まれたという酒井さん。
すると思いがけず、その面白さに魅了され「古文の教科書に第一段以外のところが載っていたら、もっと古文が好きになれたはず」という思いでいっぱいになったそう。
『枕草子REMIX』は、そんな酒井さんの『枕草子』を面白さを伝える一冊を作りたいという思いがつまった一冊です。
『枕草子REMIX』おすすめポイント
とにかく内容が理解できる!
古文を読み解くのは難しく、かなり労力を使う作業ですよね。
しかし、この『枕草子REMIX』は古文を読む難しさを全て解消した1冊になっています。
『枕草子REMIX』がわかりやすい理由は、大きく分けて以下の2つです。
- 原文と現代語訳が並んでいる構成ではなく、酒井さんの解説がを中心に話が進んでいく
- 清少納言自身が登場する設定で、酒井さんと対談形式で内容を語るシーンも
このように、飽きのこない工夫が多く「古文が苦手」という人の心配を払拭した一冊になっています。

酒井さんと清少納言が対談する場面は、人柄が現れて思わずクスッと笑ってしまうほどです。
現代語&現代世界に合わせた解説
枕草子が書かれた平安時代と現代では、価値観も生きている世界観も大きく異なりますよね。
酒井さんはそのギャップを埋めるべく「現代でいうとこんな感じ」という解説を添えています。

「ここで清少納言が言っているのは、合コンにいるこういう男のこと」みたいな解説は本当に笑えます。どの時代にもそういう方はいるんだなあ。笑
現代を生きる私たちの感覚に当てはめた解説は、本当にわかりやすいです。
そして逆に言えば「清少納言と私たちの感覚は同じ!」ということなんですよね。
時を超えて、清少納言との共感を体験させてくれるのも、この作品の素晴らしいところです。
違和感のない現代語訳
本の中で枕草子の原文も登場する点は、古文を学習している学生に特に勧めたいポイントです。
『枕草子REMIX』では「原文を読んでみよう」という、横に現代語訳が添えられた原文が引用されたコーナーがあります。
古文の訳というと参考書などでは「ぎこちない現代語訳」となっている場合が多いですよね。
しかし『枕草子REMIX』では、原文横にある現代語訳が違和感の少ない表現で書かれています。
これを読み込むことで、古文を学習するための大きなメリットを得ることができるのです。
- 内容や情景が頭の中に浮かびやすくなる
- 「どうしてこの訳になるのか?」を考える機会になる
- 「この場合はこうして解釈すればいい」という言語感覚が身につく
- 親近感を持って古文を読む姿勢が身につく
「もっと古文が得意になりたい」「親しみを持って読めるようになりたい」という受験生や学生のみなさんにも強くおすすめしたいです。
おすすめポイントまとめ
- 枕草子の内容が解説付きで理解できる
- 現代語&現代世界の感覚に合わせた説明がわかりやすい
- 原文も引用しながら解説してくれる
まとめ
今回は、酒井順子さんの著書『枕草子REMIX』について紹介しました。
この1冊を読むと、古文の世界の見方自体も一気に変わると思います。
「昔の人も今と結構同じ感覚じゃん!」「平安時代ってこんな生き方だったんだ……」「意外と古典文学もちゃんと読めば面白いのかも」そうしたいろんな発見に出会えるはずです。
実際、古典文学は面白い作品がたくさんあります。
まずはそのスタートとしてこの『枕草子REMIX』で古文の世界を大いに楽しんでほしいです。