今回の記事では、作家・桐野夏生さんのおすすめ作品を5つ紹介します。
- 他とはちょっと違うパンチのある作品を読んでみたい
- 小説を「どうせハッピーエンドでしょ?」と思いながら読んでしまう
- 勘が鋭すぎて物語の結末予想が的中しちゃいがち
- 「面白かった」だけでなく、考えさせられるストーリーが好き
そんな方にぜひ読んでほしいのが桐野夏生さんの作品なんです。

桐野さんが大好きで、彼女の作品をたくさん読んできた私が自信を持っておすすめいたします!
おすすめ5作品をいち早く知りたい方はこちらからどうぞ!
桐野夏生さんについて
プロフィール
桐野夏生さんのプロフィールを簡単にまとめさせていただきました。
- 1951年、金沢市生まれ
- 1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞を受賞
- 1997年『OUT』が社会現象となるほど人気に
- 1999年『柔らかな頬』で直木賞を受賞。その他数々の賞を受賞
- 10年以上直木賞の選考委員を務められている
- 最近では『日没』『インドラネット』といった作品が話題を呼んだ
作品の傾向について
僭越ながら桐野さんの作品を私なりに定義させていただきますと、こんな表現になります。
- 綺麗事とは真逆の「現実」
- 社会や人の心に存在する「裏」の世界
- 日の当たらない、世界の「陰」の部分

その分読んだ後の衝撃は半端なく、しばらく立ち直れないかもということもよくあります。そこが魅力。
このように「この本に出会わなかったら一生こんなこと考えなかったかもしれない」と思わせてくれるのが、桐野さん作品の最大の魅力です。
minが選ぶ!桐野夏生おすすめ作品5選
さて、いよいよここからは桐野夏生さんの作品を多く読んできた私が、特におすすめしたい作品を順に紹介していきます。
平和ボケした私たちの価値観に一石を投じてくれる、そんなパンチのある作品ばかりですよ。
- 柔らかな頬
- 水の眠り 灰の夢
- だから荒野
- 夜また夜の深い夜
- バラカ
柔らかな頬

主人公一家と、主人公の不倫相手の一家が共に旅行に行くところから物語は始まる。あろうことか、そこで自分の娘が失踪。絶望と罪悪感に苛まれながら、真相を追い求める主人公の人生や心理描写を深く描いたミステリー作品。
『柔らかな頬』は1999年に講談社より出版され、直木賞を受賞した作品です。

私はこの作品をきっかけに桐野さんの作品にはまることになりました。
「自分の身には起こり得ないことだ」と最初は思うものの、「私なら一体どうするだろう」気づけばそんなことばかり考えて、主人公と共に暗い森をあてどなくさまよったかのような気持ちになりました。
ラストも衝撃で、自分は読み終わった後しばらく呆然と天井を見つめたのを覚えています(本当です)
「解決がゴール」のミステリーの枠を超え、それ以上のインパクトを読者に与えてくれる作品です。
水の眠り 灰の夢

舞台は昭和38年9月。東京オリンピック前夜に起こった事件から物語は展開する。新聞記者が事件の取材をしていくうち、自分が別の「女子高生殺人」の容疑者となってしまう。そんな2つの事件の真相を、記者の立場から追っていくミステリー作品。
1995年に文藝春秋から刊行された作品です。
『柔らかな頬』でも同じこと言ったのですが、「ミステリー」というとどうしても解決がゴールになってしまいますよね。
今作においてももちろんその要素も大いにありますが、それ以前に登場人物一人一人のキャラクターとその心理描写には、とても引き込まれるものがあります。
とはいえこの『水の眠り 灰の夢』に関しては、『柔らかな頬』よりもミステリー色が強く、個人的には比較的読みやすい作品としておすすめしたいです。

読み終えたあと「このタイトルやばすぎない!?」と感激した思い出があります。
だから荒野

主人公は46歳の主婦。夫と2人の息子と暮らしていたが、自分を軽んじる家族に嫌気がさし、ある日決別を決意する。夫の愛車で高速道路をひた走る妻、ゴルフバッグを積んだ愛車と妻を失った夫、どうしようもない息子たち。この家族が結末に辿り着くまでを描く物語。
『だから荒野』は2012年1月〜9月までの間、毎日新聞にて連載されていた作品です。
これまで紹介したミステリー2作と雰囲気は異なり、1つの家族を描いた物語となっています。
「主婦になればこんな悩みを抱えることになるのだろうか」と思ったり、どうしようもない夫の描写にクスッと笑ったりしながら、「家族」の存在意義や在り方について広く考えさせられます。
失礼ながら、物語の中盤くらいまではそれほど特別な作品とは思えなかったものの、終盤の展開は「さすが桐野さん……」と、思ってもみなかったことを考えさせられることになりました。

ちなみに主婦歴の長いmin母も「主婦は心をつかまれる」とめちゃくちゃはまりこんで読んでいました。
夜また夜の深い夜

国籍不明、父の名前も自分のルーツもわからない少女。整形を繰り返し何かから逃げ続ける母と共に、世界の各地を転々としている。そんな少女がある日興味を持った人物へ、手紙を書くところから物語は始まる。自分は一体何者か?母の秘密とは?少しずつその真相に迫る物語。
『夜また夜の深い夜』は2014年に幻冬社から刊行された作品です。
ストーリーを文庫の裏に載ってるレベルでさっと説明するとこうなるのですが、読み始めると「あれ?本当にそんな話なの?」と思ってしまうほど軽快に話が進んでいきます。
しかし読み進めるうちに、桐野パンチ(勝手に名付けた)が私の価値観や固定観念をぶん殴ってきました。
読んだ後は「あぁ私、平和ボケの頭で生きてたんやな」と、深く自分の価値観を見つめ直すことができ、桐野さんの作品の中でも特に印象に残っています。

個人的に「やっぱ桐野夏生最高」と改めて感じた作品でした。
バラカ

主人公は40歳のキャリアウーマン。子どもを諦めた過去を持つ彼女はある日「子どもがほしい」気持ちを抑えられなくなる。そこで友人と海外にわたり、非合法で少女「バラカ」を養女に迎える。それがきっかけで、バラカを取り巻く人々の運命が動き出す。
2016年に集英社より刊行された作品です。

簡単にあらすじを書いただけでももうインパクトが半端ない…
この『バラカ』は文庫の裏表紙や帯で「ディストピア小説」と紹介されています。
特にこの小説は、とあるテーマについて「書かなければ」という桐野さんの使命感から生まれたのではないかと個人的に感じ、そのメッセージを強く受け取りました。
目を覆いたくなるような展開もありますが、「こんな世界もある・こんな人もいる・こんな運命もある・あるいはあったかもしれない」という現実を激しく突きつけられます。
「この本読まなかったら一生こんなこと考えなかったかも」と思える桐野夏生作品の真骨頂です。
まとめ
今回は小説家「桐野夏生」さんのおすすめ作品を5つ紹介しました。
世の中にはエンターテイメントにあふれる作品は多くありますが、「それでは少し物足りない」「もっと度肝を抜かれたい」という方に特におすすめしたい作家さんです。
「この本に出会わなかったら一生こんなこと考えなかったかもしれない」そんな風に思わせてくれるのが、桐野さん作品の最大の魅力だと思います。
それがこの記事で少しでも伝わっていると嬉しいです!