綿矢りさのおすすめ作品を紹介。繊細な心情を描ききった小説

022 Book

人気作家・綿矢りささんの作品を読んでみたいけれど「どれから読めばいいかわからない……」という方も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、綿矢りささんのおすすめ作品を5つ紹介します。

綿矢さんの作品は、女性ならではの繊細な心情をリアルに表現しつつ、背中を押してくれるような物語が多いです。

そんな綿矢さんの本が大好きな私が、特に読んでほしいおすすめ本について語っていますので、ぜひ参考にしてみてください!

おすすめ作品をいち早く知りたい方はこちらから!

作家・綿矢りささんについて

まずは、綿矢りささんがどんな作家なのかについて簡単に解説させていただきます。

綿矢りささんの経歴

綿矢りささんの経歴を簡単にまとめさせていただきました。

  • 1984年、京都府生まれ
  • 2001年 17歳で『インストール』で作家デビュー、文藝賞受賞
  • 2002年 早稲田大学在学中『蹴りたい背中』で芥川賞を最年少受賞
  • 2006年 早稲田大学を卒業、専業作家に
  • 2012年 『かわいそうだね?』で大江健三郎賞を受賞
  • 以降は大体1年に1本のペースで執筆活動を継続
  • 映画化した作品も多く、2021年には『ひらいて』が公開された

綿矢さんの作品の特徴

僭越ながら綿矢さんの作品の特徴を私なりに定義しますと、こんな表現になります。

  • 複雑かつ繊細な感情を余すことなく描ききる
  • 理性や現実に捉われない魅力的な女性たちの物語
  • なめらかで読みやすい文体
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ご本人もインタビューで「女性の複雑な内面に興味がある」とおっしゃっていました。だからそこにスポットを当てた作品が多いのでしょう。

絶妙な比喩表現、畳みかけるような独白。さまざまな心情が錯綜する様子を取りこぼしなく描ききる姿勢が個性的です。

作品に登場する女性たちも魅力的で、最後に自分の心情に従って行動する彼女らの姿はどんな生き方も間違いじゃない」そんな強いメッセージを届けてくれます。

さらに、読みやすい滑らかな文体のため、読書が苦手な方や若い世代の読書デビューにもおすすめです。

綿矢りさ おすすめ作品5選

ここから、綿矢りささんのおすすめ作品を5つ紹介します。

  1. 蹴りたい背中
  2. 勝手にふるえてろ
  3. かわいそうだね?
  4. 手のひらの京
  5. 私をくいとめて

それぞれのあらすじやおすすめポイント、読んだ私の感想も含めて紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください!

『蹴りたい背中』(2004年)

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あらすじ

クラスで孤立している高校1年生「ハツ」。ハツのクラスにはもう1人、余り者の「にな川」がいる。ある日ハツは、にな川があるモデルの熱狂的ファンであることを知る。そのモデルを見たことがあったハツは、にな川と交流を深めることに。にな川のこと、そして彼のモデルに対する熱量を深く知るうちに、ハツの心に「ある感情」が沸き立っていく。

綿矢さんが早稲田大学在学中に発表した作品です。本作で芥川賞を受賞、最年少記録を更新して話題を集めました。

綿矢さんがどんな描写をする人なのか、それはこの『蹴りたい背中』の冒頭部分を読めば理解できるのではないか、と個人的には感じます。

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冒頭の「寂しさは鳴る」という表現には、私も衝撃を受けました。

十代独特の好きなものに対する熱量、周囲に対して持ってしまう妙に冷めた視点、そして行き場のない感情がとんでもない方向で放出されて起こる、突飛な行動。

そんな誰もが経験した思春期の心理を「青春」と一括りせず、物語として繊細に表現した作品です。

『勝手にふるえてろ』(2010年)

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あらすじ

主人公は26歳、恋愛経験ゼロのオタク系OL・ヨシカ。恋愛ができない理由は、中2のときの同級生の「イチ」がずっと好きだから。妄想を巡らせながら生きてきたが、ある日同僚の「二」からアプローチされる。でも「イチ」がどうしても好きで「二」を受け入れられないヨシカ。そこで自分の気持ちに決着をつけるべく、とある行動に出る……

2017年には松岡茉優さん主演で映画化もされました。

普段表に出さないだけで、人には誰しも「こじらせている」「歪んでいる」部分があるものです。

この作品では主人公・ヨシカを通じ、誰もが持つそんな一面を真っ向から表現しています。

レビューは賛否両論ありましたが、私はこの「人のめんどくさい部分」「こじらせた部分」を、ヨシカの恋愛模様を通じて何よりリアルに表現した素晴らしい作品だと感じました。

そんな綿矢さんの「唯一無二の心理描写」を一気に浴びることができる作品です。

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映画も原作で魅力的だった心理描写が見事に映像作品として昇華されてて感動したのを覚えています。松岡茉優さんが大好きになりました。

『かわいそうだね?』(2011年)

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あらすじ

28歳の樹理恵は頼れる彼氏・隆大と交際中。しかしある日、隆大から「元カノが困っているから自宅に居候させる」と言われる。さらに「樹理恵のことが好き、でも居候がダメなら別れる」というまさかの宣告。樹理恵は仕方なく居候を許すも、猜疑心を募らせていく。そんな樹理恵が最後に出す結論とは……

この『かわいそうだね?』は、大江健三郎賞を受賞した作品です。

この作品のタイトル「かわいそう」という言葉を、私たちは普段何気なく使っていると思います。

「この言葉を発するとき、本当は心の中にどんな感情があるのだろう」私はこの小説を読んで、そんなことを考えさせられました。

一見コメディのように軽やかで痛快な物語にも見えますが、主人公の複雑な心情の揺れの描写を通じて、そんな深いテーマに言及した作品になっています。

ちなみに文庫本にはもう一つ『亜美ちゃんは美人』という作品も収録されていて、こちらも女性の複雑な心理や人生と向き合った物語として評価が高いです。

『手のひらの京』(2016年)

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あらすじ

京都に生まれた3姉妹の人生を描いた作品。結婚に焦る31歳の長女、男にはモテるが女子に嫌われる次女、理系女子で恋愛に無関心な三女。性格も価値観も違う3人が不器用に交わりながら、自分らしく生きていく姿を描いた物語。

綿矢さんの故郷である京都を舞台とした作品です。

性格や生き方の異なる三姉妹が主人公となっていて、お互いぶつかりあったり影響しあったりしながら、それぞれベストな選択を模索していく姿が描かれた作品です。

3人が持つそれぞれの信条に従い、葛藤し、答えを導き出す様子にはどんな選択も人生も間違いではないそんなメッセージ性を感じました。

綿矢さんの魅力である「繊細な心理描写」と京都のやさしい風景描写が相まって、これまでにない穏やかさをまとった物語です。

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京都に馴染みの深い私にとっては、各所の情景が浮かんでより胸が熱くなる部分がありました。

『私をくいとめて』(2017年)

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あらすじ

みつこは、おひとりさまを満喫する32歳。実は彼女の脳内には「A」という存在がいる。みつこはいつも頭の中で相談役のAと会話しながら生きている。ある日、後輩の多田くんといい感じになるも「現状が変わる怖さ」に前に進めない。そんな中みつことAの間にも変化が起き始める……

2020年に「のん」さん主演で映画化もされました。

「頭の中の人物と主人公の会話を中心に話が進む」という不思議な作品です。

しかしこれが人間の複雑な心理を繊細に表現する手法のようになっていて、綿矢さん独自の視点や技巧を感じることができます。

現状に満足していれば尚更ですが、自分らしくない行動、いつもと違う行動がもたらす変化には得体が知れない怖さを感じるものです。

「どう折り合いをつけ、自分を納得させるのか」Aとの対話の中からそれを導き出すみつこの人生を見守ることで、一歩踏み出す勇気をもらえる作品です。

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クライマックスが独特で、いろんな考察ができると思います。個人的には考えさせられる部分が多く、特に出会えてよかったと感じた作品でした。

まとめ

今回は小説家・綿矢りささんのおすすめ作品を5つ紹介しました。

独特な空気をまとった彼女の作品から、自分が何を得るのか・感じるのかがいつも楽しみで、ついつい多くの著書を手にとってしまいます。

そんな綿矢りささんの作品の魅力を、ぜひ実際に読んで感じていただきたいと思います。

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